研究課題
本年度は、基板上のナノ粒子の合体過程を調べる予定であったが、触媒作用を強化する目的で使用される基板材料として有力な酸化物とナノ粒子の問の相互作用を厳密に表現できるポテンシャルとして適当なものが存在せず、妥当な結果が得られなかった。そのため、ナノ粒子と合体して複合構造体を構成する材料として有望なグラフェンの安定形状をエネルギーの観点から調べることとした。その結果、平衡化後のグラフェン小片のエネルギーはその形状と縁構造に依存すること、グラフェン縁の原子構造にはジグザグ型とアームチェア型のものがあるが、ジグザグ型縁構造が多いグラフェン小片の方がアームチェア型縁構造が多いグラフェン小片よりも低いエネルギーを示すこと、拘束のない自由なグラフェン小片は縁部に生じる圧縮応力によってたわみ振動を起こすこと、一対の端部が拘束されたグラフェンナノリボンは有限温度において振動し、その振幅は数オングストローム程度であることがわかった。この結果は、ナノ粒子-グラフェン複合構造体を作成する際に使用するグラフェン小片の形状を決定するための有用な指針を与える。
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Materials Research Society Symposium Proceedings
巻: Vol.1407, No.mrsf11-1407-aa15-47 ページ: 6
DOI:10.1557/opl.2012.334
physica status solidi (b)
巻: 248 ページ: 2839-2847
10.1002/pssb.201046298