研究概要 |
平成21年度に製作した骨粗鬆症診断装置を用い,さらなる踵骨音速値の精度向上を目指して,踵骨音速の測定実験を行った.また,新たに大きさが半分程度の簡易的な骨粗鬆症診断装置を製作した.得られた研究成果は以下の通りである. 1.製作した骨粗鬆症診断装置を用い,遅延材を組み込んだ発信用と受信用の超音波探触子を接触させ,得られた反射エコーから超音波探触子の整合層や遅延材部分の透過時間を明らかにした. 2.超音波探触子を踵の両側に取り付け,踵中の透過エコー波形をパーソナルコンピュータに取り込みエコーのピーク位置を自動計測した.また,踵幅はディジタルノギスの値を,踵の表面温度は遅延材の先端部分に取り付けられた熱電対による出力値を,パーソナルコンピュータに自動計測にて取得できた.さらに,過去の実験データから踵骨幅が踵幅の約64%であることを利用し,踵両側の軟部組織の音速を1531m/sとみなして,基準温度が30℃での踵骨音速値を自動的に計測できる測定手法を確立した. 3.学生達を被験者として踵骨音速を測定し,この値を腰椎の二重エネルギーX線吸収法による骨密度測定値と比較検討し,本装置の有用性を明らかにした. 4.平成22年度には,さらなる装置の小型化及び超音波探触子の移動部の改良を目指し,これまでの装置より大きさが半分程度の簡易的な骨粗鬆症診断装置を製作した. 5.国内の学会及びシンガポールで開催された第6回バイオメカニクス国際会議にて,1.~3.で得られた研究成果を発表した.
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