研究概要 |
平成23年度は前年度に製作した簡易的骨粗鬆症診断装置に新たな改良を加え,これを用いて更なる踵骨音速値の精度向上を目指して踵骨音速の測定実験を行った.以下に得られた研究成果を示す. 1.平成22年度に製作した簡易的骨粗鬆症診断装置において,踵を取り付ける部分の超音波探触子間の距離がさらに大きい場合も測定可能なように新たな改良を加えた. 2.超音波探触子を踵の両側に取り付け,踵中の透過エコー波形をパーソナルコンピュータに取り込みエコーのピーク位置を自動計測した.また,踵幅はディジタルノギスの値を,踵の表面温度は遅延材の先端部分に取り付けられた熱電対による出力値を,パーソナルコンピュータに入力した.さらに,過去の実験データから踵骨幅が踵幅の約64%であることを利用し,踵両側の軟部組織の音速を1531m/sとみなして,基準温度が30℃での踵骨音速値を自動的に計測した. 3.平成21年度に製作した第一次診断試装置と平成23年度に開発した第二次診断装置を用い,男子学生達を被験者として踵骨音速を測定した.その結果,第二次診断装置による測定結果は第一次診断装置による測定結果に比ベデータのバラツキが少なく,優位な装置であることがわかった。また,第二次診断装置による男子学生達の測定結果は,他社の超音波骨粗鬆症診断装置による測定結果や腰椎の二重エネルギーX線吸収法による骨密度測定値とも高い相関性を得た. 4.以上の結果より,開発した第二次診断装置は,非常にコンパクトであり踵中のエコー波形の取得も簡易的な測定手法により正確な測定結果が得られた,これより,従来製品(300万円)の1/6位の50万円程度の低価格な骨粗鬆症診断装置を開発するとの当初の目的を実現できそうな段階まで研究開発できた. 5.国内の学会(日本機械学会)にて,以上で得られた研究成果を発表した.
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