研究概要 |
落錘型衝撃試験装置における斜め接触において,様々な角度を持たせて球-球斜め接触の静的試験および衝撃接触試験を行い,接線成分の影響を調査した.接触角度は球径より大きなステンレスソケットを用いることで設けた.リングクラック発生荷重は接触角度の増加に伴い減少する傾向を示した.また,接触角度の増加に伴う荷重の減少率は静的接触および衝撃接触はほぼ等しいことかち,負荷速度はリングクラック発生荷重の減少率に影響しないことが明らかとなった.さらに,静的接触および衝撃接触共に接触角度の増加に伴い,ばらつきは増加する傾向を示した.接触角度を持たせることで接線力と反対側に発生する引張り応力が増加することにより,リングクラック発生に関与する潜在き裂の絶対数が増加したためであると考えられる.また,接線力負荷状態で発生したリングクラックは半円状をしており,そのリングクラックの周方向の長さは接触角度の増加に伴い減少,またばらつきが小さくなる傾向を示した.接触角度が大きくなると接線力と反対側は圧縮領域となるため,リングクラックは圧縮場で停止し,ばらつきも小さくなったと考えられる.窒化ケイ素は,それ自身非常に安定な物質であるため,純粋なまま焼結することが困難で,焼結助剤を添加して焼結する.よって,これらの助剤酸化物系と窒化ケイ素原料粉体の表面に存在するガラス相が結晶粒界に存在する.また,リングクラックき裂長さは数μm程度であり,き裂の進展は粒子数個分の破壊である,よって,このようなミクロな破壊を考える場合,粒界に存在するガラス相や不純物などのバインダーに大きく依存していると考えられる.
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