研究概要 |
全体として取組んだ課題は大きく分けて以下の4項目である. (1)変態塑性発現モデルの統合型変態・熱・力学理論による構成式の一般化と変態塑性特性の解析的導出 ・降伏関数の引数である塑性特性に、変態の進行の効果を考慮して一般化変態塑性特性を具体的に表現する理論的な導出を行った。 ・変態塑性は変態中の母相と新相の線膨張係数、塑性特性の相違に依存することを考慮して,変態中の温度、変態のカイネティックス、および弾塑性解析を行うことによって、負荷の有無による塑性ひずみを計算し、これから変態塑性係数の解析的導出の基礎的検討を行った。これによって、引張と圧縮負荷での変態塑性係数の違いなどについて多くの知見を得た。 ・巨視的なモデルを確立するために,すでに上原らが確立した力学場を含むフェーズフィールド法によって,変態の進行と応力の関係を検討した. (2)変態塑性特性データの実験的採取とデータベース化 ・これまで変態塑性特性を同定した材料に加えて,高張力鋼など各種の材料についてデータを採取した。 ・とくに、パーライト,ベイナイト変態に加えて,マルテンサイト変態も対象とした. ・これらの取得したデータを井上,岡村らが構築した材料データベースMATEQに移植するとともに,炭素当量を規定し,化学成分依存性を検討した. (3)変態・熱・力学シミュレーションへの適用と効果の検討 ・すでに井上,巨が開発した変態・熱・力学シミュレーションソフトCOSMAPへの導入を容易にし,変態塑性の効果と重要性を明らかにした.また,熱間プレスへこの手法を適用して,自動車用高張力鋼のプレス成形および高周波焼入れの残留応力などの評価の向上に寄与した.
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