研究概要 |
分極した5×5×1mmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)板に幅2mmの部分電極をつけた試験片を用いて,これに繰返し電界を負荷した時の圧電定数d_<33>および静電容量C_pの変化について調査を行った.400Hz,±400V/mmの負荷条件において,d_<33>, C_pいずれも電界の繰返しに伴い減少し,10^7回の負荷でd_<33>は初期の値の約15%,C_pは同じく約3%低下することがわかった.しかしながら直流電界負荷と比較して,繰返し負荷のこれら特性変化への効果はあまり大きくないことが明らかとなった. 平均電界の影響を調査するため分極方向および逆方向の直流バイアス成分を含む交流電界下でも実験を行った.正バイアス片振り電界を負荷した部分電極材では,d_<33>,C_pいずれも負荷開始の極初期に著しい低下が見られ,その後徐々に回復する傾向が見られた.一方負バイアス片振り電界の負荷では,これらの特性値が大きく変動する結果が得られた.同一条件下での全面電極の場合に比べ,部分電極材の影響は電荷負荷初期に特に顕著に現れることがわかった. 表面片側に電極をつけた試験片の電極境界にビッカース圧痕による微小予き裂を導入し,繰返し電界を負荷したときのき裂伝ぱ挙動について調査した.き裂は電極の縁に沿ってある程度伝ぱした後に停留することがわかった.この停留するときのき裂長さは負荷する繰返し電界の大きさに依存し,±400V/mmでは約0.1mm,±600V/mmでは約0.2~0.35mmであることがわかった.
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