研究課題/領域番号 |
21560108
|
研究機関 | 富山県工業技術センター |
研究代表者 |
佐山 利彦 富山県工業技術センター, 機械電子研究所 機械システム課, 副主幹研究員 (40416128)
|
研究分担者 |
釣谷 浩之 富山県工業技術センター, 機械電子研究所 機械システム課, 主任研究員 (70416147)
|
キーワード | 信頼性設計 / 高密度実装 / マイクロ接合部 / X線マイクロCT / 放射光 / ヘルスモニタリング / 熱疲労 / 寿命評価 |
研究概要 |
電子基板のマイクロ接合部の観察に特化した非破壊検査技術の開発を行った。放射光研究施設SPring-8を利用し、放射光X線斜めCT技術によって、実基板上のマイクロはんだ接合部の微細組織や疲労き裂が観察可能となり、疲労寿命を推定するための基盤技術が確立した。 1.研究内容・成果 (1)斜めCT技術の開発:電子基板のような薄板構造体に対しては、長手方向にX線が十分に透過しないため完全な透過画像データを得られない。そこで、X線ビームが基板面に対して斜めから入射するように、電子基板用に特化した試料ステージを設計し、さらにCT画像を再構成するソフトウェアを作成し、放射光X線斜めCT技術を開発した。(2)マイクロ接合部の非破壊観察:開発した斜めCT技術をマイクロ接合部(Sn-3.0Ag-0.5Cuの鉛フリーはんだバンプ)に適用したところ、微細組織構造としてAg_3Sn相の分布をとらえることが可能となり、また熱疲労による微細な疲労き裂を可視化することも可能となった。これより、同一のマイクロ接合部を継続的に観察することで、その健全性をモニタリングする技術への道が開かれた。 2.有用性:産業高度化、社会的ニーズ、工学的意義 エレクトロニクス実装において、接合部のマイクロ化は急速に進行しており、信頼性評価技術に対するニーズが高まっている。放射光X線斜めCT技術の開発により、これまで観察可能な形状や寸法に制限があった電子基板が、完全な非破壊で観察、評価が可能となったことの工学的意義は非常に大きい。開発した手法は、まさに電子機器業界のニーズにタイムリーに応えるものであり、将来、関連企業製品の高度化、信頼性向上に大きく貢献することが期待できる。
|