研究概要 |
本研究は、高い粘着性を有する熱硬化性樹脂と金端子が混在する基板表面を、双方の段差が数百nm以下になるよう平滑に超精密切削加工する手法を開発し,複数のシリコン基板の積層による半導体シリコン基板積層技術を実用化することを目的としている. 平成22年度の研究では,平成21年度の研究に引き続き,半硬化状態の熱硬化性樹脂に対する精密切削加工におけるダイヤモンド工具の磨耗防止策の開発と超高速スピンドルと微小エンドミルを用いたバンプ部分の微細除去技術の開発という二つの課題に対し,それぞれ高精度な切削実験を行うための機器開発と,工具形状・材質の微細形状創成に与えるえ今日の調査を行った.このうち,ダイヤモンド工具の磨耗防止技術の開発では,超高速縦型精密旋盤の精度調整を行い,50nm単位で切り込み深さを制御してフライカットと同等の切削条件下で実験を行う環境の整備を行った.レーザ測距機による工具刃先切り込み位置の補正とシリコン基板の精密エアチャック機構を新規に開発した結果,高速切削に相当する条件下での工具摩耗の調査を実施することが可能となっている.また,バンプ部分の微細除去技術の開発では,超硬工具およびハイス工具を用いてバンプ周囲に溝形状を付与する場合の削り残し・押しならしおよびエンドミル工具に対する樹脂固着の影響の調査を行い、平滑な溝形状側面部分を得ることの可能な工具姿勢および加工条件の検証を行った。平成23年度の研究においては、これらの成果を統合し、バンブ上部に削り残し等を生じさせない超精密切削加工を試行する予定である.
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