本研究は、高い粘着性を有する熱硬化性樹脂と金端子が混在する基板表面を、双方の段差が数百nm以下になるよう平滑に超精密切削加工する手法を開発し、複数のシリコン基板の積層による半導体シリコン基板積層技術を実用化することを目的としている。 平成23年度の研究では、前年度までの研究に引き続き、半硬化状態の熱硬化性樹脂に対する精密切削加工におけるダイヤモンド工具の磨耗防止策の開発と超高速スピンドルと微小エンドミルを用いたバンプ部分の微細除去技術の開発という二つの課題に対し、それぞれ高精度な切削実験を行うための機器開発と、工具形状・材質の微細形状創成に与える影響の調査を行った。このうち、ダイヤモンド工具の磨耗防止技術の開発では、超高速縦型精密旋盤の切削工具を外気と遮断した上で連続的なアルゴン/窒素ガスを供給し、低酸素状態での維持によって切りくずの固着による摩耗の進展を防止出来るかどうかの検証を行った。また、同様に0度近辺まで切削雰囲気を冷却し、切削熱による摩耗の進展の影響についての調査を行った。バンプ部分の微細除去技術の開発では、機上計測による工具刃先位置の調整手法を開発し、傾斜軸・旋回軸のアライメント調整と併用することによって深さ20μm以下の微細溝形状をバンプ周辺に選択的に形成する手法の開発に成功した。研究では、溝形状の付加がフライカット時のバンプ周囲の段差形状の発生へ与える影響についての比較実験を実施し、付与による基盤貼り付け時の段差形状の軽減により、要求された仕様を満たすことが可能となることが確認できた。
|