研究概要 |
マイクロナノ加工機においては,サブミクロンオーダの精度の高速な工具運動が必要となるため,工具端の微小振動が問題となる.振動の原因には設置床からの振動である地動外乱と機械内部の送り運動に伴い発生する慣性力や切削力により機械自身が加振されて発生する直動振動がある.これらの振動は床との設置条件に大きな影響を受ける.本研究では,床-除振機構(設置機構)-加工機の力学特性と制御の動的な特性を考慮して,工具端での運動精度を向上するための設計制御法を明らかにすることである.本年度は,剛体をベースにした力学モデルを用い,設計モデルの具体性を失わないレベルの解析モデルの構築法を検討した.工具-テーブルを駆動したときの工具端の運動誤差をシミュレートできるCNCサーボモデルをあわせ,除振機構と加工機ならびに床特性との連成解析を行った結果,直動外乱の影響と地動外乱の影響の両方を同一モデルで評価できるようになった.除振機の有無によって工具端での振動がどのように変化するかをシミュレーションで調べることが可能になり,具体的な高次振動モードの寄与を明らかにできた.これは前年度まで用いていた簡易2自由度モデルを用いた解析では不明な点であった.新しいモデルを用いて主要要素の減衰を変化させて工具端振動への寄与のシミュレーションスタディを行ったが,その効果についてはケースバイケースであるという結果になった.今後は,モデルの構造を理解した振動抑制の低減法について検討する.
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