研究概要 |
切削加工において工具の長寿命化は極めて重要な課題であり,工具摩耗や切りくず凝着による工具折損のさらなる抑制が強く求められている.これに対し研究代表者は切削工具表面に微細な三次元周期構造を形成することで新たな機能を発現する切削工具を研究開発している.そして実際にフェムト秒レーザを用いて表面にナノーマイクロメータオーダの周期構造を有する切削工具を開発し,切りくず凝着による工具折損が生じやすいアルミニウム合金切削において,優れた耐凝着性・潤滑性を達成することができた.また昨年度は,同様のフェムト秒レーザを用いて表面に溝幅・溝間隔20μm,溝深さ5μmの一方向からなるストライプ状の周期溝構造(マイクロストライプ)を有する超硬工具を開発し,鉄鋼材料切削において工具摩耗を大きく抑制することができた 本年度は,さらなる特性向上を実現するために,微細構造がもたらす様々な機能発現のメカニズムについて詳細に検討を行った.その結果,ナノマイクロ構造は凝着等の発生段階を抑制することに有効であり,一方,マイクロストライプ構造は凝着等の成長段階を抑制することに有効であることを明らかにした.これにより微細構造の最適化に関する基礎的知見を獲得することができ,来年度は実際に最適化微細構造を有する切削工具の開発を実施する.また引き続き,切削工具メーカや加工メーカと情報交換を行うことで,本研究の方向性について明らかにすることができ,来年度は実際の加工現場への展開を実施していく
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