研究概要 |
本研究課題は,超精密メゾスケール部品の創成に適した,A3サイズに収まる小型ウォータドライブ加工システムを開発し,これを温度制御された水中加工環境下に設置して,水中超精密加工を実現することを目的にしたものである.具体的には,まず新たに考案したウォータドライブステージを開発し,これをすでに開発されたウォータドライブスピンドルとともに,高精度に温度制御された水を利用して,小型加工システムを駆動・制御する.その上で,加工システム全体をやはり高精度に温度制御された水中(水道水や純水)に設置し,加工精度の更なる向上を目的にして実施している. 研究3年目の研究成果を以下に示す. 1.ウォータドライブステージの運動精度評価 ウォータドライブステージの運動精度を反転法により測定評価した. 2.ウォータドライブ加工システムによるダイヤモンド切削試験 開発した加工システムを用いて,ダイヤモンド切削試験を行った.加工中のステージの運動精度と速度の評価を行った.その結果,加工中の速度変動があったため,制御系の改良点を明らかにした. 3.ウォータドライブステージやスピンドルに組み込む水静圧軸受の最適設計手法の検討水静圧軸受に組み込む,軸受絞りの最適設計問題について検討し,理論と実験により軸受剛性を最大にする軸受絞りの設計手法を開発した.さらに,開発した設計手法に基づいて,ステージの軸受絞りの再加工を行った. 4.ウォータドライブステージの速度制御系の再設計加工試験の結果から,ステージの速度制御系の改良点が明らかになったので,ステージのモデル化から再検討を行った.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究において,装置取り扱いの問題から,ウォータドライブステージの部品一部が損傷し,その結果,ステージの運動精度に問題が発生した.これについては,装置の組み立て方法の定量的な評価を行い,同様の問題が発生しないような方策を施す予定である.今後は,高精度加工実現に向けて,加工実験による総合評価を実施する予定である.
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