試料に対して良好なスラリー配置分布を得ることで砥粒の作用効率が向上する新たな加工メカニズムを確立することを目的とする。 H22年度は平面脆性材試料であるガラス試料に高電圧電界を印加した環境下にて電界砥粒制御技術が及ぼす遊離砥粒研磨技術の可能性、特に電界印加時並びに電界が切られた状態におけるスラリーの流動挙動についてハイスピードカメラをもちいて、詳細なる検討を深めた。観察実験装置を開発して、高速回転定盤時におけるスラリー流れの流入挙動、排出挙動が観察可能なように上定盤には透明電極であるITOガラスを用いた。本スラリーの挙動観察には、ハイスピードカメラを用いて、観察実験を試みた。すなわち研磨定盤とパッドさらに試料(ガラス)との間にあるスラリーが電界印加の有無下によって、どのような影響を受けるのかについての観察実験である。電界を印加することで周波数に呼応しながら上定盤にスラリーが引き寄せられ、電界によって得られる吸引力がスラリーに作用することで、遠心力に逆らいながらも定盤内に流入する様子を確認できた。これらのことから、実際の研磨においても電界作用によって、研磨試料に対してスラリーの流入が良好になるのが推察できた。さらに電界を切ることによって、遠心力が支配的になり、スラリーが研磨定盤より流出する現象を本観察実験より明らかにすることができた。すなわち電界を印加することによって、研磨下にスラリーを長く留めておくことが可能となり、砥粒が試料に作用する時間が長くなること。これより、砥粒を含むスラリーの試料に対する作用効率が向上することを明らかにすることでできた。また電界をきることで、例えば加工屑等の排出が進行する可能性が高まった。これより与える電界は繰り返しの方形が最適であるという結論を導き出すことに成功した。本研究成果は世界的も極めて貴重な成果である実際の研磨実験へ移行し、研磨特性評価を行う。
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