研究概要 |
本研究は,焼結ダイヤモンドや電着ダイヤモンド砥石などに対して,非導電体であるダイヤモンド粒子自体を直接放電加工し,微細な工具形状に加工したり,砥石の形状を修正することができる放電ツル-イング技術の開発を目的とする.ダイヤモンドを効率的に加工できる放電加工条件について検討した結果,放電パルス時間を短く設定すると加工能率が向上することがわかった.これは,放電パルス時間が長くなると,加工油から生成される熱分解カーボンがダイヤモンドの表面に大量に付着するためと考えられた.加工面の分析を行ったところ,カーボンに加えて銅,タングステンなどが検出された.これは放電加工で消耗した工具電極材料が加工面に転写したもので,放電パルス時間が長いほど,その転写量は増加した.このことから熱分解カーボンや工具電極材料が加工面に付着することがダイヤモンドの放電加工速度を低下させる原因になっていると考えられる.また,電極の極性を逆(ダイヤモンド:負極,工具電極:正極)にするとダイヤモンド側に熱分解カーボンや工具電極材料は付着しなくなるが,ダイヤモンドの表面に導電性がなくなり放電加工は停止する.そこで,それぞれの極性を適当なタイミングで切り替えて行う放電加工法について検討した.放電加工機の電源回路に高速極性切り替え回路を挿入し,同じ放電パルスで極性だけが異なるパルスを定期的に切り替えて与えることができるようにした.比較実験を行った結果,電極極性を切り替える複合パルスによる加工では,それぞれ一方の極性だけで加工した場合(単極性加工)に比べて,加工速度や電極消耗率が向上し,その有効性を確認することができた.また,それぞれの極性パルスの複合割合について調べた結果,加工速度が向上する適切な複合割合があることがわかった.
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