研究概要 |
平成22年度は(1)塗装装置の開発をし、(2)冷間圧延鋼板(SPCC)を基板として、その表面凹凸を変化させて塗料の積層状態を観察した。(1)では平成21年度で開発した塗装装置本体のハードウェア部の調整の他に、塗装条件をプログラムにより制御するソフトウェアの開発を行った。スプレーガンの移動速度,塗料吹き付け量や吹き付け圧力など様々な塗装条件の設定が可能である。この開発した塗装システムにより条件を様々に変化させた塗装実験が可能となった。また、この試作した塗装システムにおける目視における塗装表面状態の最良な条件を調査し、塗装実験の基準条件とすることができた。 (2)では塗装の条件により表面が視覚的に大きく変化することがわかった。しかし、同一塗装条件による基板表面凹凸の影響は小さかった。これは、塗料を積層する毎に液体である塗料が表面凹凸を吸収し、表面をなめらかにする方向に働いているためと考えられる。基板と塗料の付着の状態を走査型電子顕微鏡で観察した結果もそうなっており、また、基板表面の微細凹凸に塗料が入り込んでいることが観察できた。この観察結果により基板と塗料の付着力はアンカー効果によるところが大きいのではないかと推測できる。したがって、基板表面の凹凸形状によって付着力が制御できる可能性がある。平成23年度ではこの基板表面凹凸形状と塗料の付着力の関係をJIS K5600のクロスカット法、耐屈曲性(円筒型マンドレル)試験により評価を行う予定である。
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