平成21年度は、立ち上がり補助座椅子の機能設計(3DCADによる)を行うとともに補助座椅子2機構築のためのネジやモータ等の主要部品の購入、及び実験で振動騒音等を測定するための治具一式を購入した。 平成22年度は、上述2機の補助座椅子を組み立て、性能実験と100万回の繰り返し実験を行い、10月までに実用化の目途を立てる。11月以降、安全性と機能性が確保された完成品2機を作成し、近隣の病院や養護老人ホームに貸し出し、モニタリングを行う予定である。そのアンケート結果をもとに、さらに改善を行い、実用化を図りたい。 この研究の意義については、申請時に記述させていただいた、「病院や福祉施設でよく目にする光景であるが、老人が座った席から立ち上がる状況が痛々しく見えて仕方がない。介護者がそばにいる場合であってもその大変さは見て取れる。このように、病院や福祉施設にわれわれが考えているような立ち上がり補助座椅子が設置されていないのが現状だと思われます。もし本座椅子が安価で提供あるいはレンタルで安く提供できれば福祉や介護の現場の大変さが少しでも解消されるものと確信しております。」のとおりであり、一刻も早く実現したいと考えています。 また、本研究は、このような民生用として役に立つと思っていますが、学術的な意義としては、小型・省エネ型リニア駆動機構を考案したことにあると考えています。 したがいまして、リニア駆動機構の作用原理、負荷時接触部の潤滑等のトライボロジー的工夫、応用としての工業用クランプユニット、ロボットのアクチュエータや現在検討中の立ち上がり補助座椅子等にっきまして、論文発表等を行い社会に公表していきたいと考えています。
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