平成22年度は、3DCADによる設計図をもとに、立ち上がり補助座椅子2機を製作したが、振動・騒音が大きく改良設計とリニューアル製作を実施した。その結果、騒音がかなり小さくなり、実用に供せられるレベルまで下げることができた。秋の国際フロンティア産業メッセ(2010年9月9日~10日、神戸国際展示場)では、内1機の展示と実演を実施し、使用者に聞き取り調査も行った。その際、指摘いただいた点を踏まえさらなる改良を施した。 平成23年度は、さらに、介護福祉施設と病院に設置していただいて、モニタリングを行いさらなる改良を目指したい【立ち上がりリハビリ用】。また、メッセで要望のあった、座面最上部位置での座面の傾けやリクライニング機能の付いた座椅子を新たに作製する予定である【介護度の高い高齢者用】。 この研究の意義は、病院や介護福祉施設の高齢者あるいは独居老人の立ち上がり補助およびADL(食事支援・更衣支援・整容支援)やIADL(炊事支援・洗濯支援)を支援することにあり、その実用化を一刻も早く実現すること、及び学術的な観点からは、小型・省エネ型リニア駆動機構を考案したことにあると考えています。したがいまして、昨年度に引き続きリニア駆動機構の作用原理、負荷時接触部の潤滑等のトライボロジー的工夫、応用としての工業用クランプユニット、ロボットのアクチュエータや現在検討中の立ち上がり補助座椅子等につきまして、論文発表を行い社会に公表していきたいと考えています。
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