研究概要 |
人体には,比較的太い血管からなる巨視的循環系から,毛細血管などで構成される微小循環系を経由して再び巨視的循環系へとめぐる血液の流れがある.血流は酸素や栄養分を末梢組織までくまなく行き渡らせると同時に体内における熱輸送を行っている.この血流による体内の熱輸送は人体にとって本質的なものであることから,医療や人間にとっての快適性といった広い応用分野や関連分野が存在する.本研究では,実験的なアプローチが困難なこの微小循環領域における流れと熱輸送現象を数値計算によって解析するための計算手法の構築を目指している. 本年度は,前年度の単純直交格子に関する基礎的な計算アルゴリズムについての検証を引き続き行うとともに,単純直交格子からマルチレベル格子への展開および高速化,効率化についての検討を進めた.既存の計算機設備を利用して得られた結果を踏まえ,購入予定の本計算に適した並列計算機システムを導入し,効率化のための予備的な計算をあわせて実施することで,解析のターンアラウンドタイムを小さくして,現実的な時間内でのシミュレーションを可能とした.また,計算規模の増大とともに,計算用入力データの作成,計算結果の可視化を含むデータのハンドリングも難しくなることから,この点に対しても配慮,検討を行った.
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