研究概要 |
本研究では二次元縮小流路とフローフォーカッシングを組み合わせた手法により高伸張速度を達成する平面伸張流動発生技術の開発を目的とする.フローフォーカッシングとは伸張させたい流体の流れ場(サンプル流)に対してその外側に別の流体を用いた流れ場(シース流:Sheath flow)を作り,シース流を駆動力としてサンプル流をフィラメント状に伸張させる流れ場である.流れ場を安定させる流路形状,シース流の制御方法を検討し,伸張速度およびひずみ量に及ぼす効果を定量的に明らかにする. 昨年度までに製作した流路に加えて,本年度は二次元縮小流路部に一定の曲率を有する旋回部を設置した流路を新たに設計した.この流路では平面伸張流動に旋回流動を合わせた流れ場を形成することが可能で,昨年度までの平面伸張流動場形成に対して,旋回部での遠心力と伸張応力による締め付け力の釣り合いより伸張応力を推定することを目指した.伸張応力の大小によりシース流に包まれたサンプル流が流路内の中心面からのずれ量が決定できるため,旋回部でのサンプル流の軌道を正確に求めればサンプル流に作用する伸張応力を算定することができる.これにより,昨年までの可視化による伸張速度評価と合わせて平面伸張粘度を算出することができる.これまで平面伸張粘度を測定することが困難であった希薄高分子溶液に対して本手法を適用し,平面伸張粘度を求め本手法の有効性を示した.
|