研究概要 |
層流渦輪は一定距離直進すると波状変形し,その構造が崩壊して急激に並進速度を失う.軸流を伴う渦輪を形成すると,適切な条件の場合には急激な渦構造の崩壊を伴う乱流遷移が抑制でき,渦輪による流体の輸送距離の増大が期待できる.そこで,このメカニズムを調べるため,H22年度の研究実施計画に基づいて,次の2項目について研究をすすめた. 1)連続的な三次元的可視化とPIV測定 渦度のx成分(ω_x)とθ成分(ω_θ)の詳細な空間的構造をPIV測定によって調査し,渦輪形成直後にHead & Tailの渦構造が現れていること,また,これがPeelingと呼ばれる渦放出現象の原因となっていること分かった.そして,蛍光染料と改良されたレーザーライトスキャナーを用いた三次元的可視化によって,これらの渦構造の時間的な変化と渦放出過程が連続的に捉えられた.これらのデータは,数値シミュレーションとの比較に用いることができた. 2)数値計算による研究 スペクトル法を用いた渦輪の数値シミュレーションを実施し,128^3の空間解像度で軸流を伴う渦輪の条件を幅広く(Re=1000,2000,4000,渦輪の太さ,軸流の強度,初期外乱の強度を合わせ50run以上)調査することができた.また,Head & Tailの渦構造形成とPeelingと呼ばれる渦放出現象についても,実験結果と同様の傾向で観察されることが確かめられた.さらに,得られた幅広い条件の渦輪の速度場データから,Peelingの発生条件について検討が進められた.
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