研究概要 |
本研究の最終目的は,粒度分布をもつ微粉体粒子群を準剛体回転流中で高精度で分けるサブミクロン分級方式を実用化することである.本方式の高い精度は,準剛体回転流の生成条件から知られるように,処理量の犠牲の上に得られるものであり,本方式は基本的に高付加価値の粉体を対象とするが,連続処理化や高処理量化,多産物化のような高効率化を確実に実現できれば,その対象範囲を広げることができ実用化に向かう.本年度は,下記について実験と数値解析によって研究した結果,以下の主な知見を得た. 1.単段二産物分級機での高流量化による高処理量化について:分級実験において,高流量化に伴い条件によって分級精度が低下するのは,分級場入口において給水による高精度化(粗粉産物への微細粒子の混入阻止)がうまく働かないからである.給水は原料粉体懸濁液(微細粒子を含む)がハウジング側のエクマン層に入って粗粉産物に混入しないようにするためのものであるが,高流量時に条件によって入口で乱れが生じるために微細粒子がハウジング側のエクマン層に入って精度が低下する.そこで,フィードパイプにスカートを装着してハウジング側のエクマン層に入らないようすれば精度低下を防止できる. 2.高処理量型の三産物分級方式の性能について:分級実験において,微細粒子が中間粉産物に混入するため数値解析結果から得られる高精度が得られない.この原因は,入口部から入った原料粉体(微細粒子を含む)が分級場のスチュワートソン層に入らないため分級作用を受けずに中間粉産物に混入するからである.これを防止するためには,半径方向内向きの給水量を増やして微細粒子を微粉産物に向かわせることが有効であり,これにより数値解析結果とは平均径がずれるものの定性的に同じ結果が得られる.
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