研究課題
平成23年度は、これまでに開発してきたマルチスケール統合解法で用いているナビエ・ストークス(連続体モデル)解法とボルツマン(分子論モデル)解法にマルチフィジックスの効果を組み込むための手法の研究開発を行った。ナビエ・ストークス解法に関しては、気液2相流問題や流体-個体連成問題への仮想流束法の応用に関する研究を継続すると共に、新たに非ニュートン流体の取り扱いを可能とするために、Oldroyd-Bモデルなどの構成方程式を組み込んだ解法の研究を行った。また、ボルツマン解法にマルチフィジックスを取り込む研究では、比較的取り扱いが容易な格子ボルツマン法に仮想流束法を適用する研究を継続して行うと共に、密度比の大きな2相流への拡張や弁を伴う血管内の血液流れや移動物体周りの流れのシミュレーション、および、GPUを用いた解法の高速化に関する研究を継続して行った。その結果、流れ場を記述するのに必要最小限のモーメントと格子ボルツマン法と同様なステンシルを用いることにより、簡単な手法でありながら、高レイノルズ数でも比較的に安定に計算でき、計算に必要な記憶容量も大幅に削減できる、新しい解法が考案できた。この方法は、連続体領域でもナビエ・ストークス方程式を用いた解法と計算効率において全く遜色無く、簡単に熱流動や2相流を取り扱うことも可能であり、マルチスケールでマルチフィジックスが取り扱える手法に発展することが期待でき、本研究計画の大きな成果である。これらの新しい成果の一部は平成24年に開催される国際会議で発表予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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Computers & Fluids
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巻: (掲載確定)
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