研究概要 |
風車ロータ開発:直径500mmのモデルが最高出力点付近で発生する前段ブレードハブ側(直径の50%以下)の回転トルクは,ティップ側の8%程度と極めて小さいことを確認した.そこで,前段風車ロータのブレードは,回転トルクにあまり寄与しない半径の小さいハブ側で極力抗力が小さい翼素を採用して無負荷を実現し(合力が軸方向),半径の小さいところでは仕事をせず風を通り抜かせ,後段風車ロータに上流側の風のエネルギーをそのまま受け渡すようにした.これに対する後段風車ロータのブレードは,前段風車ロータからの流れにマッチングするようにした.すなわち,ブレード全域で所望する回転トルクが得られるように反りを持つ翼型からなる翼索とし,前段風車ロータ径の外側に相当する領域では前段風車ロータからの旋回流に対して,内側に相当する領域では無旋回流れに対して,最高揚抗比を与える迎え角より幾分小さい迎え角となるように,半径方向に捻りを与えた.上述した前段ブレードを採用すると出力係数は向上する.前段ブレードは半径の小さいところで仕事をしない分,他の風車ロータと比較して幾分出力係数は低くなるが,それ以上に後段風車ロータの出力向上が目立ち,タンデムロータ型風力発電ユニットとしての出力は増加する. 実証試験の準備:上述の風洞実験で開発した3枚のブレードからなる直径2mの前段風車ロータ,そのロータまわりの流れに基づいて設計された5枚のブレードからなる直径1.68m(好適前後段直径比)の後段風車ロータと,二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電機を準備した.それらを高さ3mのタワー上に搭載した発電ユニット(アップウィンドウ型)を本学の屋上に設置し,フィールド試験を開始した.
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