研究概要 |
本研究では,マイクロバブルが水に対してどのような作用を及ぼすのかを,外乱が入りにくい実験室内環境下で明らかにするため,十分にコントロールされた環境下で,一部のパラメータのみを変化させ,マイクロバブルの発生法,気体種,気泡径およびその分布,ボイド率,周囲液相の気体溶存飽和度・温度などが,気泡上昇速度,気泡溶解速度(気泡径変化),ゼータ電位,液相のDO変化,COD変化,Ph変化,電気伝導度変化などに及ぼす影響を個々に明らかにし,マイクロバブルのどのような作用が,水環境改善に役立っているのかを解明することを目的としている.これまで,DO値はマイクロバブルを与えた場合には増加して飽和値をキープしたが,COD値も増加すること,加圧溶解方式のマイクロバブルに界面活性剤を添加した場合に,比較的大きな摩擦低減効果が表れることが確認された.一方,ゼータ電位についても,前年度までのデータでは発生法による違いが見られたため,最終年度では,さらに系統的データ収集を行った.その結果,発生装置,気体種並びに気泡径によるゼータ電位の影響は,有意的な差は見出せず,測定誤差範囲内で,ほぼ影響は見られないとの結論に至った.なお,測定範囲は発生装置としては加圧溶解法,せん断法並びに旋回法の三種,気体種としては空気,窒素,酸素の三種,気泡径は10~50マイクロメートル程度であった.摩擦低減効果についても,さらなる実験を行い,以下の結論を得た。Re~30000程度の乱流において,加圧溶解法で作成した場合よりもせん断法でマイクロバブルを作成した場合により大きな摩擦低減効果が表れることが確認された.この際界面活性剤3-ペンタノールを加えたら,摩擦低減効果は低減した.また,大きな摩擦低減効果が表れている際の速度分布を超音波流速分布計によって測定したところ,壁面近傍の時間平均速度勾配が低下していることが確認できた.今年度には,加圧溶解における気泡発生促進に関する論文が公表できた.
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