| 研究概要 |
これまでシンセティックジェットのコアンダ効果に着目した研究は皆無に等しく,本研究ではシンセティックジェットの流動特性に及ぼす壁面の影響を調べた.当該年度に行なった二次元シンセティックジェットの流動特性に関する研究では実験並びに数値シミュレーションの両面から噴流構造の解明を試みた.実験結果と数値シミュレーション結果は概ね一致していることが確認され,主としてシンセティックジェットの時間平均速度分布は無次元ストロークに大きく依存するものの,最大流速と噴流半値幅とで整理することで,連続噴流の速度分布とほぼ等しい概形を示すこと,連続噴流の再付着距離は広いレイノルズ数範囲で壁面相対距離で決定されるのに対して,シンセティックジェットのコアンダ効果は壁面相対距離だけでなく無次元ストロークにも依存すること,コアンダ効果が無次元ストロークに依存する原因として,無次元ストロークにより平均噴流形成位置が異なることなどが明らかになった.さらに,円柱壁面近傍におけるシンセティックジェットの流動特性については実験的に研究を進めた.ここでは円柱壁面近傍においても自由噴流(シンセティックジェット)でのシンセティックジェット発生条件とほぼ等しい条件において平均流れが形成されること,連続噴流の周方向速度は無次元化することで,円柱表面の任意の角度における実験点がほぼ一つの曲線上に分布するのに対して,シンセティックジェットの無次元速度分布は無次元ストロークに依存し,一つの曲線では表せないこと,圧力分布についてはノズル出口近傍で連続噴流とシンセティックジェットに違いがあるものの下流域(θ>50°)では同傾向を示すことなどが明らかとなった.
|
