研究概要 |
本研究において解析と解明を目的とした現象は、気体相と誘電液体相の界面において、気相で微弱放電を発生させると同時に液体が流動する一つの電気流体力学現象であった。すなわち、本研究ではイオン流を伴う気液2相層状流の解析方法を具体化して本現象を解明しようとする目的から、流れの可視化による電気流体力学的イオン流場の流速計測法を検討した。本年度は、電気流体力学分野で重要な流れ場の解析を対象に、流速ベクトル分布を定量化するために粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry)の適用技術をレーザー誘起燐光画像に応用して、気液2相流体の電気流体力学的イオン流場の流速計測技術を開発すると同時に、その電気的駆動力による流体力学的効果の定量解析方法を構築した。具体的には、まずレーザー誘起燐光の可視化技術を活用することで、特定な分子の燐光を時間的かつ空間的に微小な時間で追跡するMolecular Tagging Velocimetryシステムの主要構築を完了し,次に実際の気液2相層状流の流れ場の計測と解析から現象を定量化できる評価方法を明らかにした。また、構築した評価方法を考察するため、直径が1mmで先端曲率半径が5μmの針状放電電極(コロナ放電電極)から誘起するイオン風の流れ場を対象に適用した。その結果、微弱な放電電流と流体流動の相関を解析することによって電気的駆動力の定量化が可能であることを明らかにした。この電気伝導性効力と流速分布の定量化から、Navier-Stokes運動方程式の外力項において電気流体力学効果に及ぼす電気伝導性効力項を無次元化したConductive Electric Rayleigh Numberに重点を置いて本現象を解析できる知見を得た。
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