研究概要 |
前年度において残された以下の課題を解決する目的で2年度目の研究を実施した. 1)直接観察では拡大率の増大にともなって視野,被写界深度ともに小さくなり,データレートが低い. 2)吸引サンプル法では,粒子の凍結が完了しない.これは,吸引によって噴霧のプローブ内平均速度が増大すると,噴霧の滞留時間が減少して凍結条件に到達できないためであると考えられる. データレートの増大のために,浮遊状態での観察からサンプル法への切り替えをおもに実施したところ,プローブ内部で凍結させることができる噴霧粒子数には限界のあることがわかった.そこで,プローブ中で凍結させるのではなく,噴霧を液体窒素中に直接にサンプルする,直接サンプル法を試みた.その結果,広い噴霧の条件において高いデータレートで凍結させうことに成功した.このことは,実用的には最も微小な粒子を発生させることができるネブライザ噴霧(平均粒径10μm程度)と,燃料噴霧から農業散布などの広範な応用を持つ渦巻噴射弁(同60μm程度)の二つの噴射弁において実証された.さらに,この粒径計測結果を,最新の位相ドップラー法との比較計測を行い,微小粒子径においては凍結法では1μm程度が限界であること,大粒子径では,凍結法にはその限界が実質的に存在しないことが明らかとなった.しかし,これらの結果が得られた条件,すなわち,噴射流量,サンプリング位置,サンプリング時間,サンプリング受け皿寸法,液体窒素量,については,個々の噴霧において最適化されてはいるが,その工学的検討が十分とは言えないという課題も残されたため,今年度において明らかにしなければならない.
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