研究概要 |
プローブ式凍結法を考案し,装置製作,微小粒子を生成できる加湿器(超音波振動子型)やネブライザー(数万個の微小ノズルと超音波振動子の組み合わせによる医薬吸引器)の噴霧に対して適用した。その結果以下のことが明らかとなった。 (1)プローブ式凍結法を用いて,球状の凍結粒子を生成することができ,粒子計測への適用が可能である。 (2)プローブ式凍結法を用いることで,蒸発や合体の影響が常温の噴霧に比べて小さい条件での計測が実現できると解釈されるいくつかの物理現象が明らかとなった。 (3)従来型位相ドップラー法や前方微小角散乱法に比較して,10μm以下の微小粒子分布が高いことから,これらの微小粒子計測に適しているという大きな特長がある。 しかしながら,プローブ式凍結法では,常温の噴霧の一部をプローブ内に導入して凍結させるため,そのままの瞬間影写真では,1000倍以上の高拡大率において被写界深度が著しく低下してしまい,1枚の画像で計測可能な粒子数は平均5個程度と少なく,データレートの低さという問題の存在が明らかになった。この問題を解決するために,直接凍結サンプリング法を開発した。これは,プローブではなく,断熱容器に入れた受け止め皿に直接に噴霧を導入するという方法である。とくに,位相ドップラー法との比較検討を行った結果,以下のことが明らかとなった。 (1)比較的粒径の小さいザウター平均粒径(SMD)≦10μmの加湿器やネブライザーでは,2μm以下の粒子分布において直接サンプリング法の分布のほうが小さくなる。これは,新たに導入した最新式の位相ドップラー法のシステムが,10μm以下の微小粒子計測の精度を向上させた最新式のものであることが大きな理由であると考えられるが,それ以上の粒子分布はおおむね同一であり,直接サンプリング法という簡便な方法であっても十分実用に供すことのできることが明らかとなった。 (2)比較的粒径の大きなSMD≧50μmを持つ中空噴霧(スワール式ノズルで生成)においては,直接サンプリング法の粒径分布は位相ドップラー法よりも大粒径側に顕著にシフトした。これは,位相ドップラー法のダイナミックレンジの狭さゆえと考えられ,大きな特長といえる。 (3)以上のことから,微小粒子計測における利点は従来の位相ドップラー法よりは優れるが,最新式のものよりは劣ること,ダイナミックレンジの広さは証明された。
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