研究概要 |
燃焼場にマイクロ波を照射するためのマイクロ波発生装置の製作を行った.マイクロ波を効率よく照射するためには,導波管を用いたシングルモードの発生装置が有効であるが,バーナおよび光学計測のための観察用窓,燃焼ガスを排出させる排出孔等を設置する必要があることを考慮し,照射効率は低いが簡便に装置の改良が可能なオーブン式(マルチモード)を採用した.市販のマイクロ波加熱装置(既存)に平面対向流拡散火炎バーナを設置できるよう改良した.本バーナは上方のノズルから窒素で希釈された燃料,下方のノズルから空気が導入されるものであり,燃料流と空気流の衝突した付近に平面拡散火炎が安定的に形成されることを確認した.マイクロ波の周波数は2,45GHzで,最大出力を700Wとし,出力はゼロから700Wまで可変とした. 光学計測として,火炎中のすすの体積濃度とすす粒子径が同時に計測可能なレーザ誘起赤熱法(LII)を適用することを試みることとし,その光学系の構築を行った.本手法はレーザ光をすす粒子に照射させることによりすす粒子を赤熱させ,その発光特性からすすの体積濃度を,また発光の時間的な減衰からすす粒子の直径を推定するものである.光源として既存のパルスYAGレーザの第2高調波(532nm)を使用する.すすからの発光はハーフミラーにより2方向に分けられ,それぞれ中心波長が410nmと670nmの干渉フィルターを通して光電子増倍管に導かれる.光電子増倍管からの信号は既存の高速サンプリングのオシロスコープに取り込まれ,そのデータは解析用パソコンに保存される.本年度は,すすからの発光スペクトル強度を基に,すすの体積濃度を算出した,その結果,マイクロ波照射により,火炎中のすす堆積濃度が減少する傾向が認められた.
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