研究概要 |
ディーゼルエンジンはあらゆる熱機関のうちでも優れた高い燃料経済性を持っており,省エネルギーや地球温暖化抑制の立場から注目されている.しかし現状では微粒子状物質(PM)のすすおよび窒素酸化物(NOx)の排出が多いという問題点を抱えている.本研究では,マイクロ波を用いたすす抑制技術の検証を行うために,エチレンの拡散火炎にマイクロ波を照射し,火炎へのマイクロ波照射がすす濃度分布にどのような影響を及ぼすかを2次元的に調べることを目的とした.2次元のレーザ誘起赤熱法の構築においては,532nmND3+:YAGレーザをシリンドリカルレンズによりシート状にして計測対象に入射させた.レーザシートは高さ20mm幅0.5mmで強度は0.5J/cm2とし,中心部分の10mmのみを観察に用いた.LII信号は532nmバンドストップフィルタと410nm(FWHM10nm)の干渉フィルタを通してICCDカメラにて検出した.ICCDカメラのゲートタイミングはレーザ発振後20ns後,ゲート時間は50nsとした.シングルモードのマイクロ波照射装置内に直径4mmの石英製円管を設置し,そこからエチレンガスを鉛直上方へ噴射させて拡散火炎を形成させ,その火炎に上記レーザシートを照射し,拡散火炎中のすす濃度分布を行った.また,火炎温度の計測は2色法を用いて行われ,580nm(FWHM10nm)と670nm(FWHM10nm)の二つの干渉フィルタを用いた.実験では,エチレンの流量を0.3L/minとし,マイクロ波照射強度を0W,50W,100W,150Wの4条件とした.その結果,マイクロ波を照射することですす体積濃度の減少が観察され,特にすす体積濃度が一定以上濃い領域でマイクロ波の影響が顕著であることが明らかとなった.一方,マイクロ波照射によるすす粒子温度の有意な変化は観察されなかった.
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