第一にポリプロピレン(PP)不織布のレーザ溶着に関して、単一種類の繊維を用いた不織布に対する実験検討を行った。照射するレーザと樹脂材料の吸収性の柑性から、CO2レーザよりもツリウム:ファイバーレーザを用いてのポーラス材の重合わせ溶着を伝熱工学的に検討した。その理由は、一般の樹脂素材は近赤外線のほうが透過性が高く、ポーラス素材の深部まで光が到達し安く、結朱的に溶着可能な部材厚みが増すからである。織上げ目付の異なる6種類のPPシートの溶着性能評価において、レーザ照射条件は照射出力を一定とし、速度を変化させ、溶着可能な上限速度を見出すべく実験を行い、この上限で製作した溶着部材をピーリング試験により破壊強度を測定した。ピーリング試験(引張速度10mm/mm)の結果は、それぞれ、20-30mm/sの速度で溶着が可能で、ピール破壊強度も素の材料の引張強度の約1/2の値を示す結果となった。 さらに、5種類の複合繊維不織布(ポリアミド、ポリエステル、レーヨンの配合割合が異なる)に対し、繊維を複合させたことによる溶着性能への影響を見出し、最適となる溶着条件を実験により求めた。本件では溶着した試料を手による破壊及び目視による観察により定性的な評価を行い、良好に溶着された試料を選別した。これらの結果から、レーザ出力、走査速度、引張強度、外観評価、含有繊維比率の問の関係を求め、最適な溶着条件を見出した。レーヨン繊維を含まない不織布は引張強度のばらつきが比較的少なく安定した溶着が可能であり、レーヨン繊維を含む不織布は強度のばらつきが大きいが強い溶着強度を持った溶着が可能であることが示された。このことから、溶着部に溶融しない素材を用いることで、溶着部の板厚が増し、結果として強度を上げることができると考えられる。
|