研究概要 |
本研究は,マイクロ波加熱が困難な条件,さらには,誘電物性が時間的・空間的に急激に変化する条件に対して,マイクロ波加熱の特徴を最大限活用し,(1)被加熱物体内における電磁波干渉の制御,(2)被加熱物体表面における反射波の制御,(3)高加熱物体の熱拡散を利用した熱的制御に基づくマイクロ波加熱の高効率化とその最適化手法を提案するもので,本年度は,研究項目(A)マイクロ波加熱が困難な低誘電損物体に対する加熱特性の高効率化,(B)加熱物体表面での反射波抑制による加熱特性の高効率化を対象に以下の成果を得た。 研究項目(A) 1.加熱試料としてガラス層,加熱補助として高誘電体物質の水層を付加した場合のTE_<10>モードのマイクロ波加熱における透過波と反射波の干渉状態を,補助物体の厚さおよび設置位置と関連づけて解析的に明らかにした。 2.誘電率の異なる2つの試料がマイクロ波の照射方向に対して並列に位置する並列構造,直列に並ぶ直列構造,および両者が混在する複合構造を対象として,マイクロ波加熱による加熱特性を試料の内部構造の違いと関係づけて明らかにした。 研究項目(B) 3.反射防止補助物体(入射波制御層)の設置による被加熱物体の加熱特性を反射防止層の厚さおよび誘電物性と関連づけて解析的に明らかにし,同一強度のマイクロ波に対する最大加熱量を理論的に明らかにした。 4.入射波制御層の均一および不均一の効果を入射波制御層の厚さおよび誘電物性と関連づけて解析的に明らかにするとともに,それらの効果を被加熱物体の表面凹凸および山型構造で代用することの有効性を明らかにした。 5.マイクロ波加熱に及ぼす表面構造の効果を明らかにするため,矩形導波管内に形成される電磁場モードと表面構造の空間的な位置関係に着目し,表面凹凸構造の配列方向の違いがマイクロ波加熱に及ぼす影響を明らかにした。
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