研究概要 |
触媒残留率の違いによって燃焼の様子が異なり,着火下限温度に影響を及ぼすことがわかった.CNT(触媒残留率5%)では,雰囲気温度が高くなると着火遅れは短くなり,また燃焼時間に雰囲気依存性は確認できなかった.CNT(触媒残留率35%)において着火遅れはほとんど確認できなかった.そして,すすとCNT(触媒残留率5%)による違いにおいては,着火下限温度は同じであったが,着火遅れには大きな差があった.これは,物質の構造による効果か,残留触媒の効果であるかはこの実験においてわからない.また,CNT(触媒残留率5%,35%)において着火下限温度以上の雰囲気温度において,燃焼はしないが,体積が減少する現象が確認された.この現象はすすの着火実験では見られなかった.以上まとめると 「CNT触媒残留率5%について」 ・今回実験した範囲では毎回着火遅れがあり,炉内中心温度の上昇とともに,着火遅れは短くなる傾向にある ・炉内中心温度590℃以上で確実に着火する.試料量,盛り方によっては550℃で着火が確認された.また,発光が確認されなくても,体積が減少することがある 「CNT触媒残留率35%について」 ・炉内中心温度490℃以上になると,着火遅れはない ・炉内中心温度510℃以上で確実に着火し,一度でも着火が確認された温度の下限は390℃である.また,CNT5%と同様,発光せずに,体積が減少することがある 「すすについて」 ・雰囲気温度にかかわらず着火遅れがあり,燃焼時間,着火遅れ,ともに傾向は確認できなかった.また,CNTのような体積減少は確認できない ・雰囲気温度610℃まででは,確実に着火する温度はない
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