研究概要 |
本年度は,種々の実験を行い,カーボンナノチューブを用いた点火による予混合気の点火に関して,以下のことが新しく分かった. 1.燃焼様式 YAGレーザーを用い燃焼実験において,レーザー光がカーボンナノチューブに衝突後,エネルギーを受け取ったカーボンナノチューブが点火し,点火したカーボンナノチューブがレーザー光との衝突による衝撃のため,未燃混合気を巻き込みながら飛散し混合気に点火することが明らかになった. 2.エネルギー密度 カーボンナノチューブに与えるレーザー光の焦点径を変える事により,エネルギー密度を変えて実験を行った.その結果,エネルギー密度が低くなると圧力上昇は遅くなり,エネルギー密度が10mJ/mm^2では触媒残留率5%のカーボンナノチューブとすすでは点火が確認できず,実験に用いる量を増加させる必要があった.このことから,エネルギー密度が大きい方が点火能力は高いことがわかった。 3.希薄可燃限界 触媒残留率35%においた,メタンー空気予混合気の当量比0.56が希薄可燃限界であった.また,触媒残留率5%では当量比0,53が希薄可燃限界であった. 4.触媒残留率 当量比が1付近の予混合気では,触媒残留率が大きい方が圧力の立ち上がりは早く,レーザーのエネルギー密度を小さくした場合にも予混合気への点火が可能であり,点火能力が高かった.また,当量比が比較的小さい混合気では,触媒残留率が小さいカーボンナノチューブの方が点火後の最高圧力が高く,点火能力が高いことが明らかになった.
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