研究概要 |
電子機器の高速化・高密度実装化の影響により発熱密度は増加し,機器の熱設計の重要性が高まっている.機器の小型化により冷却デバイスの搭載は困難である.そのため基板レベルでの熱設計が注目される.しかし,プリント配線基板(Printed Circuit Board:PCB)は複雑な銅配線を有し,その配線はPCB内部の熱伝導に影響を及ぼすため,最適な熱設計が容易でない).通常,PCBの熱設計を行う際には,CFDソフトウェアが用いられる.しかし,詳細な配線構造の解析を行うと計算時間が膨大になり望ましくない.また,PCBを微小領域に分割し,銅の体積比率に基づく有効熱伝導率を用いる熱設計が行われているが,温度予測精度は十分でない.PCBの有効熱伝導率は,複雑な配線の影響により,場所ごとに基板厚さ方向・面内方向で異なる.特に,PCBの面内方向有効熱伝導率の計測は困難であるため,配線がPCBの面内方向有効熱伝導率に与える影響は明らかでない 今年度は,一次元熱伝導率計測手法を応用した新たな計測手法を提案し,PCBの面内方向有効熱伝導率を計測した.また数値解析を行い,配線面積比と面内方向有効熱伝導率の関係を評価した.配線面積比が1の場合,面内方向有効熱伝導率が約50W/(m-K)に相当することを明らかにした.実験と解析を併用し,現状でも評価可能であるが,面内方向有効熱伝導率を定式化し,見積りを容易にすることは有益である. さらに、PCBの面内方向有効熱伝導率と配線面積比の関係を定量評価するため,支配因子が異なる2種類の熱抵抗を定義し,PCBの面内方向有効熱伝導率の定式化を提案した.
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