本研究課題では、結晶製造及び物性測定に用いる浮遊液滴技術の中心課題である回転振動液滴の挙動を明らかにするため、液滴内外の巨視的な流れ場を、スケールの異なる2種類の数値シミュレーションにより検討する。21年度は、流体の運動方程式であるナビエストークス方程式と液滴表面の運動方程式を同時に解くことによる巨視的な数値シミュレーションによって、流れ場と液滴の基本的な回転振動特性の検討を行った。まず、表面張力測定に必要な振動周波数に及ぼす振動振幅と回転の影響を調べ、振幅の大きさと回転数の最適な組み合わせによって、精度の高い表面張力測定が可能であることを示した。また、液滴の粘性等の物性値が回転振動特性に及ぼす影響を定量化した。さらに、より高精度のシミュレーションを行うために、液滴表面位置の数値解法について検討し、振動周波数を正確に計算するためには、液滴の質量保存を厳密に保つ必要があることを明確にした。 シミュレーショシ環境については、まず、条件の異なる多数のシミュレーション結果を効率的に理解するため、結果の可視化、動画化等のデータ処理環境を整備し、シミュレーションプログラムの出力形式の最適化を行った。また、シミュレーションプログラムにおける処理の効率化、並びに並列化の検討を進めた。きらに、上り現実的な条件においてシミュレーションを行うために、浮遊液滴の制御に必要な音響力等の外力場を模擬する手法についての検討を行った。
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