研究概要 |
超高齢化社会を向え,シルバー世代の就業を如何に確保するかは日本において差し迫った課題である.この現状を踏まえ,本課題では,1.200[kg]級の搬送対象物を,2.残留振動無く,また安定に,3.直接手に持って任意の位置を操り,4.ウェアラブル超薄型3軸力覚センサとワイヤ懸架式機構(クレーン)を用い,5.操作性に優れたパワーアシストシステムの研究・開発を行う.また,本研究遂行のために以下の2つのテーマを平成21年度の研究目標とした.(1)ウェアラブル超薄型3軸力覚センサの製作と特性解析,(2)バイオメカニクスに基づく人体運動力学モデル・ヒューマンフォースオブザーバの構築 本年度の成果として,(1)に関しては靴底に装着可能な超薄型3軸力覚センサを製作し,実際に作業者に履いてもらい,その操作力-センサ出力電圧特性を測定した.計測精度は相対誤差に関しては10%程度で計測できるものの,絶対精度に関してはドリフトが生じることが確認された.この問題点に関しては,今後フューマンフォースオブザーバ(後述)との組み合わせにより解決して行く.(2)に関しては,7リンクの人体運動力学モデルを作成し,人体挙動により発生する床反力の推定プログラム(フューマンフォースオブザーバ)を作成した.また,本プログラムにより見積もられた反力と,実際の反力が20N以内の誤差である事を確認した.この精度はヒューマンフォースオブザーバとしては許容できる性能であり,人間の運動による力と操作力が分離できる可能性を示唆するものである. 次年度以降は計画書どおり,システムのリスクアセスメントを行い,操作者のリスクをできるだけ低減する仕組みづくりと,パワーアシストコントローラのシステム化を行う予定である.
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