研究概要 |
平成21年度は,1リンク柔軟マニピュレータと並行構造2リンク柔軟マニピュレータに対する非線形制御と非線形フィルターを用いた衝突検知法の研究において具体的な成果が得られた.衝突検知法として,イノベーション過程を用いた手法は既に確立していたが,非線形性の強いマルチリンク柔軟マニピュレータに対する手法は確立できていなかった.状態推定器として線形のKalmanフィルタではなく,モンテカルロ法を基礎に置くUnscented Kalman Filter(UKF)を導入し,1リンクおよび2リンクの柔軟マニピュレータにおいて衝突検知法を確立することができた.UKFにおいてもイノベーション過程を定義することが出来,これを用いた衝突検知関数を定義し,その性能は数値シミュレーションにより検証した. マニピュレータの位置制御と衝突時の停止制御には,非線形制御法の1つである,Sliding Mode Controlを用いた.これにより2リンク柔軟マニピュレータに対しても,停止制御ができるようになった.また,停止制御自体は,追従制御を行うSliding Mode Controlの参照軌道を,衝突検知時点でのマニピュレータの位置に置き換えることで,実現した.これにより高い精度かつアームの振動を抑制しながらの停止が可能となった. UKFを用いたマニピュレータの状態推定と衝突検知は,1リンクマニピュレータおよび2リンクマニピュレータ何れにおいても有効であることが確認できた.
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