研究概要 |
本研究は,高い安全性の実現を念頭に置き,高度安全性を目指した柔軟マニピュレータの衝突検出と制御に関する研究を行った.平成23年度は,パラレルリンクマニピュレータの衝突検出,衝突時に停止させるときの安定性に関する検討を行った.パラレルリンク柔軟マニピュレータの動特性を集中定数系としてモデル化しイノベーション過程に基づく衝突検出アルゴリズムの構築を行った.手法としては,マルチリンク柔軟マニピュレータと同様のアプローチにより達成することができる. 衝突時の停止制御の安定性に関する研究では,従来の手法で問題となっていた衝突前後で衝突検出に用いた状態推定器による推定状態ベクトルを用いて停止制御を行っていたため,衝突の瞬間および衝突後しばらくの間は推定誤差が大きく制御精度に問題を含んでいた.本研究では,衝突検出用に用いる状態推定器と制御に用いる状態推定器をそれぞれに用意し,制御用の状態推定器には未知外乱である衝突による衝撃力の影響が状態推定誤差に出ないロバストフィルタを導入した.これにより,衝突検出性能を悪化させずに停止制御を精度良く行うことが可能になり,衝突時にも制御系の安定性が確保できるシステムを構築可能となった.また,線形化したマニピュレータに対しては状態推定器として,Kalmanフィルタと線形ロバストフィルタを用い,非線形システムとしてモデル化した場合にはUKFおよびロバストUKFが有効であることも示した.
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