研究概要 |
接触回転系で発生する多角形化現象は時間遅れに起因する不安定自励振動である.この現象の防止対策を検討するには線形解析でも十分可能であるが,実際に発生する不安定振動の成長過程や定常振動の特性を把握することでその特性に応じた新たな対策が期待できる.そこで,本課題では,系に不可避的に存在する非線形性を考慮した解析手法を開発し,非線形振動特性の解明とそれを利用した防止対策法の確立を目指す.本年度の実施項目は次の通りである 1.1自由度系および2自由度系のそれぞれの実験装置の振動アーム取付け部分の構造を変更した.この変更に合わせて,解析モデルを軸受部分の軸曲げ剛性を考慮した2自由度系および4自由度系モデルとした.この結果,これまで両者間の系パラメータにあった矛盾を解消することができ,より精度の高い解析が可能となった.また,ゴムロールのゴムの材質を変更するとともに,ロール本体の構造を改良することにより,安定した非線形振動が得られるようになった 2.2自由度系および4自由度系に関する実験を行い,パターン形成現象の応答がソフトスプリング特性を示すことや高調波共振の発生等の非線形強制時間遅れ系特有の現象が見られた.この非線形特性は主にゴム表面の非線形性に基づくものであり,強制振動はゴムロールの偏心による強制変位によること確認した.また,その振動特性を比較することによりパターン形成現象と高調波共振とでは,その成長速度や防止対策としての動吸振器の効果に差異があることを示した 3.系の非線形性を考慮した1自由度系の運動方程式に,実機に存在するゴムロールの偏心による強制変位を考慮することにより,2.の実験結果で得られた高調波共振と定性的に一致するシミュレーション結果が得られた.また,動吸振器のパターン形成現象および高調波共振に対する効果も同様に実験結果と定性的にではあるが一致する結果が得られた
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