研究概要 |
本研究の目的は,環境負荷性能(機械を動かす際に必要となるエネルギ消費量)と,機械の動作性能とのバランスを図りながら,高精度な機械制御を実現する制御系設計法を開発することである.これをおこなう最初の段階として平成21年度は「予測制御系の設計およびリアルタイム制御環境の構築」と「実験用ボールネジ駆動系の構築」をおこなった. 1.予測制御系の設計およびリアルタイム制御環境の構築 モデル予測制御系はreceding horizonと呼ばれる考え方に基づきオープンループ最適化を各サンプリング時刻において実行し,制御則を計算しなければならない.そこでまず,モデル予測制御の-種であるPFC(Predictive Functional Control)の設計・シミュレーションをおこなうソフトウェアをMATLABおよびSimulinkを用いて構築した.次に,PFCを用いたリアルタイム制御をおこなうために,Real-Time Windows Targetを用いた制御用ソフトウェアを構築した.また,実験で用いるAD・/DAボードおよびカウンタボード用のSimulinkカスタムブロックをC言語を用いて作成した,これらを用いて空気圧人工筋アームに対する位置決め制御系を設計し,実際にPFCによる位置決め制御実験をおこなった.その結果,PFC制御系が正しく設計され,実機の制御に対しても有効に機能することを確認した. 2.実験用ボールネジ駆動系の構築 本研究は主に産業用途に多用されているボールネジ駆動系(1軸サーボ系)への応用を目指している.そこで,NSK社製のモノキャリアにMaxon社製DCモータを組み合わせて実験装置を構築した.また,使用するD/Aボードとモータドライバとの電圧レンジを合わせるためにOPアンプを用いた非反転増幅器を製作し,インターフェース部の整合性を図った.
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