研究概要 |
自動車や飛行機などの製品に使用されている冷延鋼板は,様々な工程においてローラにより接触支持搬送される。このような鋼板の製鉄所における搬送ラインの長さは数kmにも及び,種々の加工プロセスを経ながら搬送装置上を10m/s以上の高速で走行している。しかしながら鋼板の処理工程の一つであるめっき処理工程では,めっき処理後に鋼板を乾燥するために鉛直方向や水平方向へ20~50m搬送されている。この乾燥工程ではローラなどの支持が難しく高い張力の付加ができないことも伴って鋼板に弾性振動が発生する。同様に,切板状鋼板の塗装などの化粧処理工程においても,鋼板とローラの接触による表面品質劣化が認められ,鋼板搬送ラインの解決すべき重要な課題となっている。軽量化などの社会の需要から鋼板は益々薄くなり,現在では0.1mm以下の極薄鋼板も製造が可能となって流通している。これを電磁力で非接触支持するためには,制御装置の機構そのものにも工夫が必要である。そこで極薄鋼板を対象とした磁気浮上制御装置の開発を行う。本年度は以下の項目に関して重点的に研究を実施した。 1. センサ,電磁石配置の理論的検討と制御性能の最適化 2. 最適配置後の浮上実験 特に、湾曲させた薄鋼板の非接触浮上制御システムにロバスト性の強いスライディングモード制御理論を適用することによって,1次モードの卓越振動から高次モードまでの振動を十分抑制することが可能となった。
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