研究課題
平成23年度は、これまでに開発したガラス板を用いたマイクロ流路を改良して、各種条件の最適化を試みた。そして、流路中を媒質と共に流れる粒子を超音波で操作するための実験を試みた。流路は、横50mm×縦50mm×厚さ5mmのガラス板に、T字形に分岐する溝(流路)を加工し、中央の分岐点には幾何学模様の溜まり場(直径10mmの半円、一辺10mmの三角形等)を付加したものを基本形とした。流路断面は正方形とし、1mm角および2mm角のものを作成した。ガラス板の端面に30mm×5mmの超音波振動子を密着させて超音波を発生させ、ガラス板を介して流路中に超音波を放射するシステムである。超音波振動子の取付位置を変えた実験を行って検討し、T字の上方側のガラス板端辺の中央を基本位置とした。また、流路の上面を薄い透明フィルムで覆って密閉し、T字型流路の3つの端に貫通穴を空けて裏面に流路コネクタを取付けた。コネクタの一つはポンプに接続して注入口とし、残りの2つのコネクタは排出口としてそれぞれチューブを取り付けて粒子操作実験システムを構築した。10ミクロンのアルミナ粒子の懸濁液をポンプにセットして、流路に懸濁液を投入した。4.5MHz付近でスイープする超音波を放射すると、アルミナ粒子は超音波により凝集し、2つに分岐する流路中で一方の流路に誘導することができた。また、数ミクロンのアルミナ粒子を同様に流路に流して超音波を照射したところ、粒子は懸濁したまま媒質と共に2つの流路に分岐して流れていった。これは超音波による力は粒径に依存するため、大きなアルミナ粒子には力が作用して一方の流路に誘導できたが、小さな粒径のアルミナ粒子は操作できなかったことを示す。すなわち、超音波の音響放射圧を用いることで、大きさの異なる2種類の粒子が混在している場合、大きな粒子を抽出できることを示した。
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日本音響学会誌
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電子情報通信学会技術研究報告
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