| 研究概要 |
ヒトが実空間で動作する場合,環境との物理的な干渉が発生し何らかの不快感を覚える。この干渉に伴う不快感の代表的なものに「痛み」がある。電動義肢やパワードスーツなどの福祉機器・装置の表面には皮膚感覚がなく衝突などによる痛み信号を得ることが出来ない。本研究では,皮膚構造を模擬した積層型センサユニットを用いて,緩やかな圧による二次痛だけでなく衝撃力によって発生する一次痛まで検出できるアレイ型痛みセンサを試作し,そのセンサを用いた痛みフィードバック系を構成することで安全なシステムを実現することを目的とする。さらに,開発したセンサを上腕義肢へ適用し有効性を検証する。平成22年の研究では,平成21年に開発したセンサアレイを用いて下記の2点について明らかにした。
(1)痛みセンサの処理系の製作
痛みの特性や伝達処理特性を模擬した複数点の痛み信号の処理が可能なアレイ型のセンサ処理システムを構築した。また,アレイ型センサの通信負担の軽減のため,動的量子化器による高率的な通信法の検討を行った。本機能の検証のために,皮膚に発生する痛みの大きさや位置を可視化するソフトを開発した。
(2)痛みフィードバック系に関する基礎実験
健常部位の上腕皮膚上の4点に振動モータを張り付け,模擬した痛み信号電圧に比例した周波数で振動を加える実験システムを作成し評価を行った。また,本研究は上腕義肢への適用を目的にしていることから,上腕作業時の各腕の動きに関する実験を行い上腕義肢に応用する際の基礎データを得た。
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