研究概要 |
四足ロボットのトロット歩容において,物理的に可能な最速歩行パターンを生成するための基礎的考察として,ロボット胴体を水平に平行移動するという拘束条件を設定し,最速歩行パターンを求めた。これまで支持脚となる2本の脚先で発生する推進力の配分が,a) 等しい場合,b) 異なる場合,の2通りについて最速歩行を求めたが,実際に作り込みで実現している歩行速度と比較すると6~7割程度の速度しか得られていない。ただし,b)では配分を歩行中固定して考えていたため,今年度は,推進力の配分を動的に変化させる手法を検討し,最適な配分を理論的に求めるための手順を開発した。このための手順は以下の通りである。1) 胴体の高さ,脚先間距離,胴体の傾斜角,及び推進力の配分を一定値とし,胴体を前後に大きく移動させた時に必要となる前後脚の4つのモータトノルクを計算する。2) 胴体のそれぞれの位置におけるモータトルクの出力可能範囲を求める。3) 推進力の配分を変えながら1)の計算を繰り返し行い,胴体の前後方向の位置毎に2)の範囲に4つのモータトルクが収まる配分の値を決定する。この値は胴体の位置と共に変化する。4)脚先を固定したまま,できるだけ胴体の前後移動距離が長くなるように,トルク配分を胴体位置毎に決定する。以上の手順でトルク配分を動的に変化させることで,これまでは実現不可能であった歩幅が実現でき,最高速度が約1割増加した。
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