研究概要 |
人と同じ空間で作業を行なう人間共存型ロボットの研究開発は,我が国の戦略重点科学技術課題の1つであり,国民や産業界から大いに期待をされている.しかし,ロボット暴走時における安全対策に関する研究は十分ではないと考えられる.本研究代表者は,これまでに,人間共存型ロボットの安全性の更なる向上を目指し,ロボットの暴走時・誤動作時においてロボットが高速度運動した場合に,バネやダンパ等の機械要素のみでロボットの高速度運動を検知しロボットを停止させる安全装置(メカニカル安全装置)を提案している.本研究では,これまでに提案したメカニカル安全装置を,車輪移動機能と双腕マニピュレーション機能を有する人間共存型ロボットに適用することにより,従来よりも安心・安全な人間共存型ロボットを開発することを目的とする.人間共存型ロボットは,人と同一の環境で動作するため,平らな床面だけでなく段差等のある不整地も走行することになる.不整地を走行する際,ロボットには振動が加わるが,その振動によりロボットに搭載したメカニカル安全装置が誤動作を起こさないように安全装置を設計する必要がある.そこで,本年度では,振動がメカニカル安全装置に及ぼす影響を解析・シミュレーションし,それに基づいてメカニカル安全装置を設計・試作した.さらに,試作したメカニカル安全装置に加振機により強制振動を加え,実験を行った.実験の結果,想定した振動に対しては,安全装置は誤動作を起こさず,ほぼ目的通り動作していることが確認できた.次年度は,本安全装置を搭載した車輪移動式双腕型の人間共存型ロボットを用いて,本安全装置の有効性を検証する予定である.
|