研究概要 |
人と同じ空間で作業を行なう人間共存型ロボットの研究開発は,我が国の戦略重点科学技術課題の1つであり,国民や産業界から大いに期待をされている.しかし,ロボット暴走時における安全対策に関する研究は十分ではないと考えられる.本研究代表者は,これまでに,人間共存型ロボットの安全性の更なる向上を目指し,ロボットの暴走時・誤動作時においてロボットが高速度運動した場合に,バネやダンパ等の機械要素のみでロボットの高速度運動を検知しロボットを停止させる安全装置(メカニカル安全装置)を提案している.本研究では,これまでに提案したメカニカル安全装置を,車輪移動部と腕部を有する人間共存型ロボットに適用することにより,従来よりも安心・安全な人間共存型ロボットを開発することを目的とする.本年度は,昨年度に引き続き,これまでに本研究で製作したメカニカル安全装置を搭載した人間共存型ロボットを用いて種々の実験((1)製作したロボットに対して疑似的な暴走状態をロボットのモータを制御することにより生み出し安全装置が目的通り動作するか否かの実験,(2)ロボットに不整地を走行させ段差乗り越え時等に安全装置が誤動作しないか否かの実験,(3)段差乗り越え時等にロボットが暴走した場合安全装置が目的通り動作するか否かの実験,など)を行った.また,その実験を行う中で発生した問題点や実験データの計測のしやすさなども考慮して,人間共存型ロボットを改良した-改良した人間共存型ロボットを用いて上述したような種々の実験を行い,その実験結果より,人間共存型ロボットにおけるメカニカル安全装置の有効性を検証した.
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