研究概要 |
本年度は,大きく以下の2点に関して研究を行った. 1.全周カメラによる道路法面などの高い箇所の三次元計測.モニタリングのためのNMSのキャリブレーション手法の構築 2.モービルマッピングシステム(MMS)の時系列計測データの比較による差分抽出.まず1に関して,現在のMMSは計測範囲が30m程度であり,法面などの高い箇所の計測機能が不十分である.そこで,田Sに安価な全周カメラによるモーションステレオ装置を追加することで高い箇所の計測機能を追加することとした・高い箇所の計測では可能な限りカメラ位置を高く設置することが望まれるが,保管の観点からカメラは計測毎に取り付ける必要があり,そのために毎回キャリブレーションを行う必要がある.従来のキャリブレーションはトータルステーションと路面マーカによる複雑な手法を用いてため,実業務で現地での取り付けが必要となるようなカメラの使用は困難であった. そこでMMSにすでに搭載されキャリブレーションが完了しているレーザスキャナの三次元点群データと,画像から作成された三次元画像特徴点群を比較することで,カメラ外部パラメータを推定する手法を構築した.評価の結果,本手法により1/500地図の精度を満たすカメラ外部パラメータ推定が可能であることを確認した. 次に2に関して,道路周辺環境モニタリング機能として,環境の変化をとらえる必要がある.そこで,同一地域を1年おきで計測した点群データから計測データの差分を抽出可能かどうかを確認した.確認手法としては,点群データを50cmメッシュに区切り平均高さの比較と,直線成分を持つ道路地物のエッジをベクトル化し比較する2つの手法を適用した. その結果,前者では変化の全体像は把握しやすいものの同一の地物がどのように移動したかが特定困難であり,後者では同一の地物の差分比較が可能であることを確認した.
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