研究概要 |
本研究は,車両にGPS/IMU複合航法装置,CCDカメラ,レーザスキャナを搭載したMobile Mapping System(MMS)を使用し,平常時から大規模災害時まで使用可能な,広域情報収集システムの構築を目的としている.研究最終年度である本年度は,実証としてMMSで東日本大震災の被災地区の情報収集を,6月初旬と11月下旬の2度に渡り行った.本研究では,2度に渡るMMSによる調査結果からこれまでの研究で開発してきた道路舗装状態の解析機能の適用や,差分抽出機能の適用を行い,実際に災害時にこれらの機能を適用した際の有効性の検証を行った.道路舗装状態の解析では路面平坦性を求めその結果をGISに登録し,画像や現地踏査の結果と比較し,地震により発生した路面段差の抽出や路面平坦性の傾向が適切に求められていることを確認した.また差分抽出では2回に渡る計測の差分を取ることで,余効変動による水平方向および上下方向の移動を確認した.算出した移動量は,国土地理院が公開している電子基準点における余効変動量とほぼ一致していることが確認されており,MMSによる連続面での変動量の抽出が可能であることを確認した.また,路面の修理跡や,瓦礫の有無も時系列で比較することで,差分として抽出することができることを確認した.MMSは災害直後においては,道路復旧が行われておらず計測を行うことができないが,復興期においては,道路現況の把握や,復興過程の記録,復興状況の把握に十分使用することが可能であることが確認された.
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