研究概要 |
ノイズを含む現実世界で精密に機能するロバスト計測制御を小型高精度パラレルリンク機構に適用し,ワーク表面に測定子を微小力で倣わせるオンマシン形状計測技術を確立することが研究の目的である.これまでの研究に基づいて,平成23年度研究実施計画ではメカニズムの絶対位置精度のさらなる向上と,高速倣い測定を実現する制御方式の確立を目標とした.研究実施計画と対比して,本年度の研究成果を下記に整理する。 1.パラレルメカニズムの高精度化 (1)照明の明るさとカメラの絞りを最適化することにより,ばらつきの少ない画像計測条件を抽出した. (2)パラレルリンク機構の動作領域を8分割し,領域毎に機構キャリブレーションを行う動作領域分割キャリブレーション方法を提案し,メカニズムの絶対精度が3.5μm(昨年度)から2.4μmに向上した. (3)機構先端部3自由度に対し,4つのアクチュエータにて駆動する冗長メカニズムの設計と試作を完了した.冗長メカニズムに対し,外部からの位置計測を必要としないセルフキャリブレーションを提案した.セルフキャリブレーションに関する誤差解析方法を提案し冗長メカニズムに適応したところ,現在の1/10以下の位置分解能を有するアクチュエータが必要であることがわかった. (4)冗長メカニズムのさらなる高精度化のために,セルフキャリブレーションと外部相対位置計測を組み合わせた新しいハイブリッド・キャリブレーションを着想し,アルゴリズムの定式化までを実施した. 2.高速倣い測定のための制御方式の確立 微小凹凸を高速倣い測定するために,インピーダンス制御における機械的応答を高めるためのパラメータの設定方法を考案した.
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